薬剤師の派遣時給の目安を公式サイトに書いている会社は0社。金額が読めるのは検索の絞り込み4社だけ

「薬剤師の派遣は時給3,000円」「4,000円も可能」といった数字をよく見ます。 その出どころを確かめるために、薬剤師の派遣を扱う会社の公式サイトを2026年8月19日に1社ずつ読みました。

結果は単純でした。 派遣時給の目安・相場・平均を公式サイトに書いている会社は、18社中0社です。

金額そのものが1つも見つからなかったわけではありません。 見つかった金額は全部、**「1件の求人の条件」か「1人の体験談」か「検索の絞り込みライン」**でした。 この3つは相場ではありません。この記事は、その区別を数えた結果です。

派遣時給の目安は「明示なし」。13社にそう記録した

派遣の区分がある14社について、公式サイトに派遣時給の目安が書かれているかを確認しました。

社数
派遣時給の目安・相場・平均を明示 0社
「派遣時給の目安は公式サイトに明示なし」と台帳に記録 12社
派遣の時給にまったく触れていない 1社(ファーマキャリア)
金額を掲げているが、目安ではなく最高時給 1社(ファーマプレミアム)

12+1+1で14社です。 「明示なし」と記録した12社は、お仕事ラボヤクジョブファル・メイトファルマスタッフファーマリードアポプラス薬剤師MC-ファーマネット薬キャリアプロ・ドットコムセルワーク 薬剤師求人ファーマシスタ求人キャディカル 薬剤師.転職です。

これは各社の不備ではありません。 派遣の時給は勤務地・勤務日数・業態・求人ごとに決まるので、 サービス全体の目安を1つの数字で出すこと自体に無理があります。 書いていないほうが誠実だとも言えます。

問題は、書いていないのに第三者の記事には具体的な数字が並ぶことです。 その数字がどこから来ているかは、後半で示します。

金額を掲げている唯一の会社でも、同じトップページの中で食い違っている

14社で唯一、時給の金額をサービスの指標として掲げていたのが ファーマプレミアムです。トップに**「単発派遣の最高時給 3,300円/h」**と表示しています。

ところが、同じトップページに「時給3,500円以上の単発派遣 32件」という別の表示があります。

同じページの2つの表示 数字
単発派遣の最高時給 3,300円/h
時給3,500円以上の単発派遣 32件

最高時給より高い条件の求人が32件あることになります。 どちらも公式の表記なので、台帳では片方を採らずに両方を記録しました。

考えられるのは、「最高時給」の表示が更新されていないか、 「3,500円以上」の絞り込みが別の母数(単発以外を含む等)を数えているか、のどちらかです。 どちらなのかは公式サイトに書かれていないので、推測を値にはしません。

同社は「業界内で最高の時給設定を目指しており…もし同じ薬局での就業で他の派遣会社の方が時給が高い場合、 同等以上にできるよう調整させていただきます」とも書いています。 他社より高い場合に合わせると明記していたのは、14社でこの1社だけでした。

公式サイトから読める金額は、求人検索の絞り込みラインだけ(4社)

目安がない代わりに、求人検索の絞り込み条件には金額が入っています。 これは「この金額で絞り込める=その金額帯の求人が存在する前提でUIが作られている」という情報です。

会社 公式の絞り込み条件に入っている金額
薬キャリ 時給 1,500円/3,000円/4,500円
お仕事ラボ 「高額時給(2,500円以上)」
ファーマプレミアム 「時給3,500円以上」(ほかに遠隔地派遣・半日案件・日祝案件)
ファルマスタッフ 「高額派遣(4,000円以上)」

4社しかありません。 この4社の金額を並べると 1,500円・2,500円・3,000円・3,500円・4,000円・4,500円 の6段階になります。

ここから言えるのは次の2つだけです。

「高額」の基準が会社ごとに1,500円ずれているのは、それ自体が読者に役立つ事実だと思います。 お仕事ラボの「高額時給」は2,500円以上、 ファルマスタッフの「高額派遣」は4,000円以上です。 同じ「高額」という言葉が、別の金額を指しています。

時給で絞り込めない会社が10社ある

上の4社を裏返すと、こうなります。 派遣の区分がある14社のうち、10社は求人検索で時給から絞り込めません。

これは実務的にかなり効きます。 時給で絞れないと、求人を1件ずつ開いて条件を見るしかありません。 希望額が決まっている人にとっては、探すのにかかる時間がまるで違います。

時給以外のこだわり条件も、金額と同じくらいばらついていました。

会社 公式のこだわり条件で目立ったもの
ファーマプレミアム 時給3,500円以上/半日案件日祝案件遠隔地派遣
ファルマスタッフ 高額派遣(4,000円以上)
お仕事ラボ 高額時給(2,500円以上)
薬キャリ 時給1,500円/3,000円/4,500円

「半日案件」「日祝案件」で絞り込める会社は、18社でファーマプレミアムだけでした。 半日だけ働きたい、日祝だけ働きたいという条件は、 時給の金額よりも「その働き方の求人があるか」のほうが先に効きます。

「高時給」と書いてあっても、金額が書いていない会社がある

金額を伴わない「高時給」の表現も記録しました。

どちらも金額は書いていません。台帳ではこの2社にも 「派遣時給の目安は公式サイトに明示なし」と記録しています。 「高時給」は数字ではないので、比較の材料になりません。

ネット上の時給の数字は、どこから来ているのか

ここが台帳をつくって初めて分かったことです。 公式サイトを読んでいると時給の数字自体はいくつも出てきます。 ただし、その出どころは全部「サービスの目安」ではありませんでした。 台帳では値として採らなかった記述を出どころつきで残してあります。

拾ったが台帳の値にしなかった時給 正体
ファル・メイト「派遣・時給3,500円」「派遣社員・時給3,200円」「パート・時給2,200円」 トップに並ぶ**利用者の声(体験談)**に添えられた表示
ファル・メイト「時給4,500円」「時給4,300円」 個別求人の条件
お仕事ラボ「時給2,800〜3,200円を目指せる」 トップの新着求人の文言
ファーマリード「時給2,700円〜」「時給1,900〜2,200円」 個別求人の条件
ファーマリードの運営会社(アイリード)「時給2,700〜3,000円」 別サイト(saiyo-connect.jp)掲載の個別求人の条件

これらを全部並べると 1,900円〜4,500円 という幅になります。 実際、第三者の比較記事に出てくる時給のレンジはだいたいこの範囲です。

でも、この数字は「相場」ではありません。 中身は体験談3件と個別求人7件で、母数は10件です。 1つの薬局の1つの募集や、1人の利用者の実績です。 薬剤師の派遣が全国で何万件あるかは分かりませんが、10件から相場は出ません。

「体験談に出てくる時給」と「サービスの時給水準」を混ぜないこと。 これが台帳をつくる過程でいちばん多く踏みかけた罠でした。 だから台帳では、ページ本文と一緒に取得元のURLを必ず保存して、 「その会社が自社について書いた記述か、それとも体験談か個別求人か」を1件ずつ確かめています。

求人の金額の分布をグラフで公開しているのは、18社中1社だけ

金額の「相場」に最も近いものを公開していたのは、意外な1社でした。

セルワーク 薬剤師求人は、 求人の価格帯別グラフ(年収・月給・時給の分布)をサイト上で公開しています。 そこに載っている数字が平均単価483万円・中央値500万円です。

18社で、金額の分布そのものを見せているのはこの1社だけでした。 他の17社は、個別求人の条件か、絞り込みのラインしか出していません。

ただし、この数字の扱いには注意が要ります。

  1. 何の単価かが分かりません。 グラフには年収・月給・時給の3つが含まれていますが、 「平均単価483万円・中央値500万円」という表記が年収を指すのかどうかは公式サイトに書かれていません
  2. これは求人票の金額であって、実際に支払われた金額ではありません
  3. 同社は運営会社の名称・所在地・設立年が公式サイトに明示なしという会社でもあります。 会社概要より先に金額の分布が出ている、という順序です
  4. 同じサイト内で求人数が食い違っています(見出し「10万件以上」と検索結果「86,401件」)

平均483万円が中央値500万円より低いという関係だけは、はっきりしています。 平均が中央値を下回るのは、低いほうに裾が長い分布のときに起きます。 高い求人が平均を押し上げているのではなく、低い求人が平均を引き下げている形です。

これは1社の求人データベースの話なので、薬剤師全体の相場ではありません。 それでも、分布を見せている会社が1社しかないという事実自体が、 「相場」という言葉で語られている数字がどれだけ薄い根拠に立っているかを示しています。

時給の高さだけで比べられない理由。会社が負担するものが公式に書かれているのは6社

派遣では派遣会社が雇用主なので、時給以外に何を会社が負担するかで手取りも安心感も変わります。 公式サイトに書いてあった内容を記録できたのは6社でした。

会社 公式サイトに書いてある内容
お仕事ラボ 派遣社員に薬剤師賠償責任保険を会社負担で付与。eラーニング「MPラーニング」
ファル・メイト 社会保険・有給休暇・健康診断・e-ラーニングの提供を明記
ファルマスタッフ 厚生労働省委託事業「優良派遣事業者認定制度」認定。教育サービス(JPラーニング等)
アポプラス薬剤師 派遣社員向けeラーニング研修システム(薬剤師生涯研修項目)
アプロ・ドットコム 教育研修制度あり(派遣社員のみと明記)
MC-ファーマネット 期間満了後も希望に応じて次の仕事を案内すると記載

薬剤師賠償責任保険を会社負担と明記していたのは、お仕事ラボの1社だけです。 他社が負担しないという意味ではなく、公式サイトに書いてあるのが1社だけという意味です。

もう1つ、時給の背景に関わる記録があります。 手数料・返戻金制度・マージン率の公開資料へのリンクを台帳に記録できたのは、18社中1社(お仕事ラボ)だけでした。 派遣では、薬局が派遣会社に払う金額のうち何割が時給になるかが手取りに直結します。 これも「他社が公開していない」ではなく「台帳の記録範囲で確認できたのが1社」という意味です。

時給以外の還元を書いている会社もある

金額の形をとらない還元も記録しました。

MC-ファーマネットには、 面談後にMC会員となり、MCポイントを商品と交換できる制度があります。 ポイントの付与条件や交換レートは公式サイトに書かれていないので、 台帳には「制度がある」ことだけを記録しました。

ファル・メイトは、 社会保険・有給休暇・健康診断・e-ラーニングの提供に加えて、 薬剤師向けの履歴書・職務経歴書テンプレートを無料配布しています。

ヤクジョブファルマスタッフは 各地域での無料の個別相談会を、 MC-ファーマネット出張登録会・オンライン登録会を開催すると書いています。

こうした付随的なものは金額に換算できないので、台帳では比較の対象にしていません。 ただし、時給だけを並べて比べると、これらが視界から消えます。

派遣を扱う会社の規模も、時給の背景として見ておく

派遣会社は雇用主なので、その会社の規模も条件に影響します。 従業員数を公式サイトに出していたのは18社中5社で、5社とも派遣の許可番号を持つ会社でした。

会社 従業員数(公式表記) 資本金
ファル・メイト 2,296人(2025年3月時点) 4,000万円
薬キャリ 1,100人(2026年4月末時点) 1億円
MC-ファーマネット 420名 1億円
ファルマスタッフ 348名(2024年4月1日現在) 93百万円
アポプラス薬剤師 169名(2026年6月現在) 1億2,500万円

2,296人と169人で13.6倍です。 ファル・メイトの2,296人は、派遣会社では派遣スタッフを含めて数えることがあるため、 内勤の人数とは限りません。内訳は公式サイトに書かれていないので、表記のまま記録しています。

一方、時給の絞り込みで最も高い4,000円以上を用意しているファルマスタッフは 従業員348名、4,500円の絞り込みを持つ薬キャリは1,100人です。 規模と高時給の有無は対応していません。 規模で選ぶ理由も、時給で選ぶ理由も、それぞれ別に立てる必要があります。

自分の条件での時給を確かめる手順

公式サイトから相場が出せない以上、自分の条件で聞くしかありません。 台帳から言える、実際に効く聞き方です。

  1. 絞り込みの金額を上から順に試す。 薬キャリなら4,500円、ファルマスタッフなら4,000円で絞り、 自分の希望エリアで何件出るかを見る。0件なら、その地域にその金額帯の求人はない
  2. 同じ薬局の求人が複数社に出ていないか探す。 ファーマプレミアムは 「同じ薬局での就業で他の派遣会社の方が時給が高い場合、同等以上にできるよう調整」と書いています。 同じ案件が複数社にあるなら、比較材料になります
  3. 時給と一緒に、交通費・社会保険・賠償責任保険・研修の負担を聞く。 公式に書いてあるのは6社だけです
  4. 派遣元の労働者派遣事業の許可番号を確認する。 派遣の区分がある14社のうち、 許可番号を公式に載せているのは10社です。詳しくは 薬剤師の派遣を扱うのは18社中14社に書きました

1日単位で働く場合の話は 薬剤師の単発派遣・スポットを扱うと公式に書いているのは5社にまとめています。 求人数そのものの読み方は 薬剤師の転職サイト18社の公開求人数は4,890件〜118,695件を参照してください。 派遣の区分がある会社は台帳の一覧から個別ページに行けます。


この記事の数字はすべて2026年8月19日に各社の公式サイトを直接読んで記録したものです。 当サイトの評価やランキングではありません。 1社ごとの記録はサービス台帳18社にあります。